心が叫びたがってるんだ。

10/31 16:40 品川プリンスシネマ シアター3

前置き

劇場アニメ強化月間最終作品。
そろそろほとぼりも冷めたと思うので(何の)
今秋の劇場アニメで一番宣伝に力入ってたであろうこの作品を鑑賞に。
場所は品川プリンスホテル内(アネックス3F)にあるプリンスシネマ。
品川は家から近いターミナルの割に寄る機会がない。
私の主たる目的地である電器屋・大きな本屋・アニメイトのどれもない(本屋は一応あるけど)ので仕方ないね。
しかし品川駅やwing・プリンスホテル付近はかなりの人で賑わっている。皆さんは何を目的に来ているのでしょう。
映画館は水族館(アクアスタジアム…じゃなかったエプソンアクアパーク品川)の隣なのだが
あまりアニメ映画はやっていない。
なんだか地味なイメージで客もそれほど多くないが、スクリーン数は11と意外に多い。
新しいシネコンと違って、入口が後方+左右どちらかに1つで、席は後方から三角形型に埋まってた。
あと、前後の標高差が高くて部屋がすごい広く感じた。感覚としては隣の映画館のアシカショーとかイルカショー的な。
客入りは半分くらい。男女比も半分くらい。客層は20代が多かったかな。
あ、トイレはチケットもぎりの外側にしかないのでできるだけ入場前に済ませておいた方がよい。

本編について(ネタバレ)

この映画はあの花コラボ・乃木坂46のテーマソング・明治製菓のCMなど事前の宣伝が激しかったと思うのだが、
それは個人的には逆効果だった。
「俺はこういうのにつられるような一般人やミーハーオタじゃないぜ」みたいな誤った選民意識が
ここまで鑑賞を遅らせた原因であるといえよう。
挿入歌の清浦夏実にはちょっと惹かれたけど。
そんなこんなで見に行った「心が叫びたがってるんだ。」だが、
感想としては普通に面白い青春映画だった。


あの花の長井・岡田・田中トリオが再集結して製作されたこの作品。
とりあえず序盤(タイトル前まで)は岡田マリーさんの色が強力である。
山の上にあるお城(ラブホ)に憧れる少女・成瀬順は幼いころ
そこから父親が知らない女性と出てくるところを見てしまい、
当時おしゃべりだった彼女はそれを母に話したところ両親は離婚。
彼女は謎の卵型妖精に言葉を喋れなくさせられてしまう。
そして高校2年の時に彼女たちは学校のイベント委員に選出され…というのがあらすじだが
順が不倫のことを母親に話すシーンの母親のリアクションがグサっとくる。
ここは少女を精神的に痛めつけるのがライフワークのマリーさんらしいなーと。
母親役の吉田羊が真に迫っていて恐ろしい。
不用意な一言で人を傷つけるという経験は誰にでもあると思う。
そこを恐れずに踏み出していくか閉じこもってしまうか。
閉じこもってしまうと、順のように人との距離感を取るのが難しくなってしまうのかも。


そして高校2年になった順は見事な目隠し系無口少女になるのだが
草食系男子・坂上拓実に惹かれて仲良くなっていくうちに
感情がすぐ表情・仕草に出る可愛さや、メールでは饒舌に気持ちを伝えようとするまっすぐさが明らかになってくる。
その造型は男オタなら割とツボに来るであろう守りたくなる感じだが
このキャラクター、女性にはどう映るんだろうか。あざとい?
水瀬いのりの、声が出せない絞り出すような演技・朗々とした歌(特にミュージカルの登場シーンは鳥肌モノ)はかなり良かった。さすがヘスティア様。


拓実はなんか言動もだけど動き(作画的な意味で)がぬるぬるしてる気する。
基本的には優しい草食系男子だが、終盤の「もっと殴ってくれ!」(違うけど)で甲斐性を見せたと思ったらあれだよ!
結果オーライだけどさ。
そもそもラブホ廃墟であんな格好してる女子がいたら普通襲っちゃうでしょ(最悪)
そして拓実・順とチームを組まされる2人、チア部部長・菜月と野球部のボス・大樹はポジション的に
拓実・順の対極に位置する存在である。
スクールカーストの一番上みたいな感じ(とはいっても菜月は割と主張しないバランスタイプだが)。
感覚としてはオラ付き度が大樹>>>>>(菜月/拓実)>>>順という感じか。
大樹・順は尖り方が激しい分、後の変化がはっきりしててわかりやすい。
菜月・拓実はつかみどころがないというか、感情があまり表に出てこないタイプなのでたまに?となることがある。
マリー作品だと終盤で少女がノーガードの殴り合い(物理・非物理問わず)して最後は仲良く大団円、みたいな流れが多い気がするが
今作はそうでもなく穏やかで一般向きな結末となっている。その辺は長井監督の手腕なのかな。
予想していたのとはちょっと違うかもしれないが。


最後にエンディング曲の乃木坂46について。せっかく本編が緊張感のあるいい話だったのに
曲がポップに寄りすぎてしまってちょっと興をそがれた感がありました。おしまい。